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随時報告(平成26年) | 国会及び内閣に対する報告(随時報告) | 検査結果 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

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Academic year: 2018

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全文

(1)

防衛装備品等の調達に当たり、原価計算方式により予定価格

を算定するなどして契約を締結した防衛関連企業に対して、

原価計算等に関する規程類の整備が十分なものとなっている

かなどについて早急に調査を行い、必要に応じて防衛関連企

業に対して改善を求めるなどの方策を検討することにより、

防衛関連企業が提出等する資料の信頼性を確保して、防衛装

備品等の調達価格の透明性を確保するよう防衛大臣に対して

意見を表示したものについての報告書(要旨)

(2)

1 防衛装備品等の調達に関する過大請求事案等の概要 (1) 防衛装備品等の調達に関する契約の概要

防衛省は、防衛装備品及びその修理等の役務(以下、これらを「防衛装備品等」と いう。)の調達を民間企業等と契約を締結することにより実施している。

防衛装備品等の調達に当たり、防衛省は、その仕様が特殊で市場価格が形成されて いないなどの場合には、製造原価を直接材料費、加工費、直接経費等の構成要素ごと に積み上げるなどして算定し、これに一定の適正利益等を付加する原価計算方式によ り予定価格を算定するなどしている。このうち加工費は、工数(製造等に直接従事し た作業時間)に加工費率(期間加工費を期間工数で除して算定した1作業時間当たりの 加工費)を乗ずることなどにより計算することとなっている。

そして、原価計算方式により予定価格を算定した契約には、契約の履行に要するな どした費用が原価として妥当であるか否かを審査するための原価監査を行い、契約代 金を確定する原価監査付条項を付した監査付契約がある。

(2) 原価計算システムの適正性を確認するための制度調査

防衛省は、防衛装備品等の調達に当たり、原価計算方式で予定価格を算定して契約 を締結している民間企業(以下「防衛関連企業」という。)に対して、その原価計算 システムの適正性を確認するために、会計制度の信頼性、原価発生部門から原価元帳 又はこれに相当する帳票類への集計システムの適正性、社内不正防止及び法令遵守に 関する体制等を確認する制度調査を行っている。

(3) 24年の過大請求事案の概要

平成24年1月以降、防衛関連企業7社による過大請求事案(以下、これを「24年の過 大請求事案」という。)が相次いで発覚し、これに対して、本院は、過大請求を行っ た防衛関連企業7社を対象として検査を行い、24年10月に会計検査院法第36条の規定に より意見を表示するとともに、24年10月及び25年9月に、参議院に対して要請を受けた 事項に関する検査の結果を報告した。

(3)

該契約の実績工数として防衛省に申告するなどして過大請求を行っていた。また、防 衛関連企業7社は上記の工数を付け替えたデータに基づいて帳票類を作成していて、実 際の作業時間に基づく工数データは大半が廃棄されているなどしており、正規の帳票 類が存在していなかった。

なお、24年の過大請求事案が発覚した以降も、防衛省に対して、25年1月に株式会社 島津製作所、同年2月に株式会社鶴見精機、同年3月に株式会社ネットコムセック、同 年10月に日本航空電子工業株式会社、26年3月に古野電気株式会社が、過大請求を行っ たことを認めた旨報告している。

(4) 防衛省における24年の過大請求事案に対する再発防止策等

24年の過大請求事案を受けて、本院は、防衛省における制度調査等の方法等を見直 すとともに、法令遵守活動等の実態を把握するなど過大請求事案を踏まえた防衛省の 諸施策について契約の相手方に対する周知等の効果を確認するなどするよう、24年10 月に、防衛大臣に対して会計検査院法第36条の規定により意見を表示している。

防衛省は、上記の意見表示を踏まえ、契約の相手方が提出等する資料について、一 層の信頼性を確保するために、「契約の相手方が提出等する資料の信頼性確保のため の施策について(通達)」(平成25年防経装第4627号。以下「25年通達」という。) を発するなどして、次のような再発防止策を講じている。

ア 制度調査等の実施に当たっては、抜き打ちで行ったりするなどの強化を図ること とし、契約の相手方に対する特約条項を設けることにより、関係資料の保存整備等 についても義務付けるなどの体制を整備した。

イ 工数等の計上を明らかにした書面を保存させるなどコンプライアンスに関する要 求事項を契約の締結に際して周知するとともに、制度調査等において、これら法令 遵守活動等の実施状況を確認し、必要に応じて改善させることとした。

また、防衛省は、25年通達において、制度調査として、年度計画に基づく定期調査 及び当該計画外で行う臨時調査を実施することとしており、防衛関連企業に対して、 少なくとも5年に1回は定期調査を実施することとしている。

2 本院の検査結果

(4)

防衛省は、前記のとおり、24年の過大請求事案に対する再発防止策として、防衛関連 企業に対して25年通達に基づく制度調査を実施しているが、その実施頻度を考慮すると、 多くの防衛関連企業に対して制度調査を完了するまでには、なお、長期間を要すると思 料される。

そこで、本院は、合規性、経済性、有効性等の観点から、防衛関連企業において、原 価計算等に関する規程類が整備されているか、実際の原価計算等が当該規程類に基づき 適切に行われているか、計上された工数が適正となっていることを確認することができ る体制が整備されているかなどに着眼して検査した。

そして、防衛省と会計実地検査時点において25年通達に基づく制度調査が実施されて いないなどの防衛関連企業12社とで締結した原価計算方式により予定価格を算定した契

(注)

約のうち、契約の履行が完了し、23年度から25年度までの間に契約代金を支払った契約 金額1000万円以上の契約計3,208件(支払金額計7223億3038万余円)を対象として検査し た。検査に当たっては、上記の防衛関連企業12社において、原価計算等に関する規程類 や作業に係る帳票類を確認したり、作業現場に赴いて作業実態、工数計上の手続等を実 地に確認したりするとともに、防衛省内部部局、装備施設本部等において、関係者から 見解を聴取するなどして会計実地検査を行った。

(注) 12社 株式会社IHIエアロスペース、新明和岩国航空整備株式会社、 新明和工業株式会社、中国化薬株式会社、株式会社東芝、日本航空電 子工業株式会社、株式会社ネットコムセック、函館どつく株式会社、 富士重工業株式会社、三井造船株式会社、三菱重工業株式会社、ユニ バーサル特機株式会社(平成26年7月1日以降はJMUディフェンスシ ステムズ株式会社)

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。 (1) 原価計算等に関する規程類の整備状況等について

24年の過大請求事案をみると、原価計算等に関する規程類の整備が十分でなかった などのため、工数修正専用端末や工数修正プログラムを使用して工数を書き換えるな どの事態が生じていた。したがって、防衛関連企業において原価計算等に関する規程 類を整備し、これに基づいて工数集計等の経理処理を適正に行うことは、防衛関連企 業が提出等する資料の信頼性を確保する上で重要なものである。

(5)

集計や実際に運用しているシステムに関する規程類を整備していなかったりしていた。 また、防衛関連企業4社は、原価計算等に関する規程類を整備しているものの、その 規程類には、実際に運用しているシステムによる経理処理手続等が定められていない ものとなっていた。

(2) 原価計算に係る工数計上の客観性の確保について

前記のとおり、24年の過大請求事案においては、契約代金の減額を回避するために、 実績工数が目標工数を上回った他の契約からその実績工数の一部を当該契約の実績工 数に付け替えるなどの事態が生じており、付替え前の工数データは、大半が廃棄され ているなどしていて、修正した記録も保存されていなかった。

以上を踏まえると、工数が集計されるまでの過程を記録及び保存することは、防衛 省が契約に際して求めている資料の信頼性を確保する上で重要であるが、検査したと ころ、次のような事態が見受けられた。

ア 作業指示や作業実績に関する資料を保存していなかったもの

原価計算に係る工数は、作業指示を受けた作業員が実際に作業に従事した時間を 実績として、工数集計システムに入力することなどにより集計される。したがって、 システムに入力された工数が実際に作業に従事した時間であるという根拠資料を保 存することは、実績工数の客観性を検証するために重要である。

しかし、防衛関連企業10社は、作業指示や作業実績の報告を口頭で行い、一定期 間を経過した後に実績工数の承認等を行うなどしているが、計上した根拠資料を記 録及び保存していないため、計上された工数が、指示と一致しているか、作業時間 の計上が妥当であるかについて客観的な証拠がなく検証できない状況となっていた。 イ 工数を修正した証拠を記録及び保存していなかったもの

過大請求事案における工数の付替え等を防止するには、工数集計システムに入力 した工数を修正する際に、修正した証拠をシステムに記録するとともに、修正理由 を記録及び保存することなどが重要である。

(6)

を記録及び保存していなかったりなどしていた。そして、今回検査した防衛関連企業 3社においては、作業時間が記録されている作業日誌や出張旅費の精算書類とは異なる 工数を計上しているなどしていて、作業時間と計上された工数とが一致していない状 況となっていた。

(改善を必要とする事態)

防衛関連企業12社において、(1)のとおり、原価計算等に関する規程類が十分整備され ていなかったり、(2)のとおり、原価計算に係る工数の計上に当たり、工数が適正に計上 されているか検証するための作業指示や作業実績に関する資料を保存していなかったり、 不正な工数の付替えを防止するための工数修正の証拠を記録及び保存していなかったり などしていて、実績工数の客観性を検証することができないなどの事態は、防衛省が契 約に際して求めている資料の信頼性確保が十分に図られているとは認められず、改善の 要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、防衛関連企業において、防衛省に対して提出等す る資料の信頼性確保の重要性に対する認識が欠けていることにもよるが、防衛省におい て、これまでに相次いで発覚してきた過大請求事案を踏まえた資料の信頼性確保に関す る事項について、防衛関連企業の取組状況等の確認を早急に行うことの必要性について の認識が欠けていることなどによると認められる。

3 本院が表示する意見

今後も防衛装備品等の調達に当たっては、防衛関連企業と原価計算方式により予定価 格を算定するなどして契約を締結することが見込まれており、防衛省においては、24年 の過大請求事案発覚以降、様々な再発防止策を実施しているが、その後も防衛関連企業 による過大請求事案が発覚しており、防衛関連企業が提出等する資料の信頼性を確保す ることが重要となっている。

(7)

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